変形性膝関節症
2016/08/19
多くの中高年の方が悩んでいる膝の痛み。
その大半に 『変形性膝関節症』 があると言われています。
そこで今回は、変形性膝関節症をテーマに、将来(現在)の膝の健康を守る事についてご紹介します。
歩く、立つ、座るなど私たちは日常のさまざまな動作で膝を使っています。 体の動きに伴い、膝の曲げ伸ばしを頻繁に繰り返しています。 このように体重を支えながらもスムーズに動かせるのは、膝の関節が正常に機能しているからこそです。 なぜ、膝が痛くなるのかを理解するために、まずは、膝関節の構造を簡単にご説明します。
膝は、 『おさら』 と呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)と大腿骨(だいたいこつ)(太ももの骨)と脛骨(けいこつ)(すねの骨)の3つの骨から成り立っています。 大腿骨と脛骨の表面には 『関節軟骨』 があり、骨の間には 『半月板』 という組織もあります。 関節軟骨と半月板は、骨と骨のつなぎ目を保護し、摩擦を最小限にすることによって、膝にかかる衝撃を吸収する働きをしています。 また、膝を動かしているのは、主に太ももの前にある 『大腿四頭筋』 と太ももの裏にある 『ハムストリングス』 という筋肉です。 特に大腿四頭筋は常に体重を支えて、関節軟骨に過大な負担をかけないような働きをしています。
変形性膝関節症は、関節軟骨の目に見えないほどの小さな傷から始まり、何年もかけて関節軟骨がすり減り、徐々に変形が進行していく疾患です。
主な症状は、歩くとき、立ち上がるとき、階段を上り下りするときなどに生じる痛みが主体です。また、痛みだけでなく、ひざの動きが悪くなり、曲げたり、伸ばしたりするのが難しくなることもあります。 なかには、膝を動かすときにゴリゴリ、カリカリ音がする、あるいは、何かが引っ掛かるような感じがすると訴える方もいます。
では、どのような方が変形性膝関節症になりやすく、さらに進行、悪化しやすい傾向にあるのでしょうか? 次のようなことが要因としてあげられます。
■ 加齢
年を重ねるとともに関節軟骨や半月板がすり減っていきます。
■ 女性
男性より筋肉量が少なく、関節構造が小さいためです。
■ 足の筋力が低下している
特に大腿四頭筋の筋力が低下すると、膝の支えがきかなくなります。
■ O脚・X脚の方
膝の内側、あるいは外側に偏って負荷がかかるためです。
■ 体重の重たい方
体重の重さが膝への負担となります。歩くときは体重の2~3倍、階段の上り下りは体重の5~7倍、走るときは体重の10倍もの力が股関節や膝関節にかかると言われています。逆に、体重が3kg減ることで股関節、膝関節への負担が10kgも軽減できます。
■ 激しいスポーツをしている
持続的に強い衝撃を受けているため、膝に負担がかかります。
■ 肉体的にハードな仕事をしている・していた
重たいものを持つ、膝の曲げ伸ばしが多いといった動作は膝に負担がかかります。
■ 膝にケガをしたことがある
半月版・靭帯の損傷などがあるとリスクが高まります。
■ 足に合わない靴を履いている
膝がぐらつくなどして負担がかかりやすくなります。
変形性膝関節症の治療では運動療法が重要です。
『膝が痛いのに運動なんかできない』 というご意見もあると思います。 確かに、激しい痛み、腫れ、熱感があるなど症状が強く出ているときは安静が第一です。 また、重度に進行し、関節の変形が進んでいるときも運動は慎重に行うべきです。 しかし、痛むからといって動かさず使わないと、ますます衰え、更なる症状の悪化を招きます。
ご自身の膝と上手に付き合っていくには、膝を充分に手入れする努力が必要です。 その一つが家庭でもできる筋肉のトレーニングです。 前述のように、膝の動きを左右するのは、主に太ももの前にある大腿四頭筋です。 大腿四頭筋の鍛え方には色々ありますが、膝を固定して、脚を動かす体操が効果的です。
ここで、体操の一例をご紹介します。
■ 膝を曲げる筋肉を滑らかにするストレッチ
(一日2回を目安にやってみましょう)
① タオルを足の裏に通し、手前でクロスさせながら両手で持ちます。
② できるだけ自分の力で膝の曲げ伸ばしを行い、難しい場合には手でタオルを引っ張り補助します。
③ ②の動作を10回行い、反対側も同様に行います。
■ 太ももの筋肉をつけるトレーニング
(1日2回を目安にやってみましょう)
① 壁などにより寄りかかり、コブシ1個くらいの高さに丸めたタオルを入れます。
② 丸めたタオルを押しつぶすように膝に力を入れ、5秒間そのまま力を入れ続けます。この際つま先は常に上へ向けておきましょう。
※膝は無理なく伸ばせる所まで伸ばせれば十分です。痛みを我慢してやる必要はありません。
※できたら、太ももの内側に力を入れるように意識してみましょう。
③ ②の動作を20回繰り返し、反対側も同様に行います。
運動の効果は短期間で現れるものではありません。
長く続けることで初めて効果を実感できます。
体と気持ちの負担にならない程度の量でかまいませんので、大切なのは長く続けて行くことです。
膝の負担を軽減させるためには、生活の工夫も必要です。 和式の生活スタイルでは、正座をしたり、しゃがんだりして、深く膝を曲げることになるため、膝痛のある方にはおすすめできません。
このような、膝に優しい生活の工夫や運動をぜひ実践してみてください。 無理のない範囲で構いません。 運動を習慣化し、長く続けていきながら、痛みにじゃまされない快適な生活を獲得していきましょう。
※膝の痛みの原因は、全てが変形性膝関節症にあるわけではありません。
膝が痛いなと感じたら、まずは早めに受診をしましょう。
リハビリテーション課
岩田
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