運動と認知機能
2019/11/06
皆さんもご存知のように,脳は他の臓器と同じく年齢を重ねることで次第に衰えがやってきます。
一方で脳には可塑性といって,もともと持っていた機能以外の 新たな機能を獲得し,不足した機能を補う働きがあると言われています。
その『脳』にアプローチする方法として,『運動』は誰にでも比較的取り組みやすく,かつ確実な効果を期待できるものとして注目されてきています。
最近の報告では『身体活動を保つ』ことが加齢による脳の退行を抑制し,認知機能を維持するうえで重要であることがわかってきました。
Ericksonらの2011年の研究発表によると,65歳の時点での1週間の歩数距離が多い高齢者ほど,9年後の調査で前頭前野や海馬の体積が大きく保たれており,13年後に軽度認知症や認知症に移行するリスクが低下していた。ということです。
また,カナダのMiddletonらの2011年の論文では,日常生活に根差した軽度の身体活動でも,認知機能を維持する効果があると報告しています。
これは,体力のない方や歩行が困難な方でも,ご本人の状況に見合った軽度の運動を行うことで効果があるということです。
さらにKramerらは,運動習慣のない健常高齢者に有酸素運動として週3回のウォーキングを6か月間行った結果,心肺機能の向上とともに認知課題の成績が向上したこと。
さらに前頭前野や側頭葉の体積が特異的に増加したことを報告しています。
このように運動を日常的に継続することが,脳にも良い影響を与えることがわかってきています。
しかし、このような『運動』の効果も、あまり無理して頑張りすぎては逆効果のようです。
特に高齢者では,強すぎる運動強度では運動効果が認められないだけでなく,
ストレスホルモンの過剰分泌により記憶を司る海馬に悪影響があるとも報告されています。
何より,運動は『楽しく行う』ということが大切です。
特に自分の好みの音楽を聴きながらの運動では,気分の快適に伴い,左側の前頭前野背外側部という注意力・集中力に関係する脳の領域で脳活動が増加し,課題の反応時間の短縮がみられるということです。
『楽しみ』は運動そのものに求めなくてもいいのです。好きな音楽,好きなテレビ,景色,人,道具,何でもいいのです。それらと運動を組み合わせてみましょう。
運動後に自分にご褒美(好きな食べ物や飲み物など)を用意して,それを楽しみに行うのもいいですね。
沢山やる必要は無いのです。
楽しみながら体を動かすことを定期的にできればいいですね。
わたしもやるぞー!
リハビリテーション課より
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