慢性硬膜下血腫とは
2020/07/20
皆さんは,慢性硬膜下血腫という病気をご存知でしょうか。
これは頭を打撲した後に,1~2か月ほどしてから徐々に発症してくるものです。
慢性硬膜下血腫は,頭蓋骨の下にある脳を覆っている硬膜と脳との隙間に,液状の血液がたまる病気で,このたまった血液が脳を圧迫してくることで,さまざまな症状が出てきます。
一般的な症状としては,片方の手足が動かなくなる片麻痺や,頭痛などが多いのですが,慢性硬膜下血腫が両側にあるときなどは,特徴的な症状がわかりにくいことも多いのです。
↑【片方の手や足などに力が入らない】,【歩行が不安定】
↑【頭痛】
その他の具体的な症状としては,
・少しずつ歩行状態が悪化してくる,
・言葉がうまく話せなくなる(失語症),
・記憶力が低下する,
・意欲が低下する,
・反応が乏しくなる,
・尿や便を漏らしてしまう,などがあります。
また,症状が出てくる前の数か月間に頭を打撲していない場合や,頭を打ったかどうかわからない場合もあります。
たとえば,泥酔していたとか,頭を打った後に脳振盪(のうしんとう)をおこし,健忘状態(ものごとを覚えられない状態)となっていた場合です。
このため,上記のような症状が徐々に進行してみられるような場合,まずこの病気をうたがうことも必要です。
高齢者では,認知症や脳梗塞として扱われている場合も少なくありません。
高齢化の中で,慢性硬膜下血腫の症例は,増加傾向にありますが,ほとんどの場合,正しく診断がなされ,タイミングを逸することなく治療が行われれば完治する 予後のよい病気です。
もちろん,慢性硬膜下血腫と似ている症状を呈する病気との区別は簡単ではありませんから,症状が軽いからといって様子をみたり,あきらめたりしないで,早めに病院で検査を受けるようにしましょう。
リハビリテーション課より
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