重力と老化の関係
2021/03/27
以前からこんなことを思っていました。
~宇宙で生活したら床ずれ(以下:褥瘡)は発生しないのではないのかな…?
無重力で圧迫もないし,身体が浮いているわけだし,栄養不足で,ガリガリに痩せていても,『外力』がゼロに等しい環境では褥瘡が出来ないのでは?
あなたはどう思いますか?(笑)
褥瘡だけみたらそうかもしれませんが,それ以外で無重力が体に与える影響は,好ましいものではないでしょうね。
■環境の変化に対応した結果
進化論を唱えたダーウィンは,「変化に対応できたものだけが生き延びられた。」
と言っています。
人間もまた環境の変化に柔軟に対応する力を持っています。
私たちは重力のある環境で暮らしています。
重力に対応した体に進化し,その仕組みを持つようになりました。
無重力の世界に身をさらした宇宙飛行士が,地球に戻った直後の映像をニュースなどで観たことありますか?思い出しください。
自力で立てない。歩けない。抱えられて車イスに乗せられて移動する姿が映りますね。
これもまた無重力環境に対応した結果であり,パッと見で私たちにもわかる体の変化です。 筋力は衰え,平衡感覚が鈍り,まともに立てないのだそうです。
■重力のおかげ?
人が宇宙に行ったらどうなるか,無重力は身体にどのような影響を与えているのでしょう。
逆の視点からすると,重力がある『おかげ』で出来ていることが,ハッキリしてくると思います。
人類が宇宙開発を始めた当初,宇宙では物が飲み込めなくなるのでは?
目の玉が飛び出てくるかもしれない!
なんてことが真剣に議論されていたそうです。
今思えば可笑しいですね。
未知の世界だったわけですから仕方ありません。
実際にそのようなことはなく,予想はことごとく外れました。
■『宇宙飛行士は早く老ける?』─重力と老化の意外な関係─
ジョーン・ヴァーニカス著
元NASAライフサイエンス部門責任者
ジョーン・ヴァーニカス氏が書いた本によると,宇宙飛行士には宇宙へ行ったその日から,次のような体の変化が起こるとのこと。
例えば
- 血圧が大きく変動する
- 貧血状態になる
- 筋肉が衰える
- 骨量が減少する
- 腸の働きが低下する
- 免疫の働きが低下する
- 暑さや寒さを敏感に感じるようになる
- 眠りが浅くなる
- 身体を安定させることが難しくなる,など。
そして宇宙から地上に戻ると
- 視力の低下,物がぼんやりと見える
- 姿勢を上手く保てない
- 赤ちゃんのようなヨチヨチ歩きになる
ようになると言います。
なんか並べて見ると老化現象に似ていませんか?
宇宙飛行士の向井千秋さんは,「宇宙から帰ったとき,一枚の紙が猛烈に重く感じられました。地球にはこんなに重力があったのか!」
と感じたそうです。
こうした老化現象に似た身体の変化は,リハビリを続ける中で元に戻っていきます。
老人とは,長い人生をかけて,徐々に重力の恩恵を避けるようになった結果ではないか…。
そして本書の中で,ジョーン・ヴァーニカス氏はこのように言っています。
「重力の影響を受けない生活が,一般的な人の老化現象と似ている。」と。
これから何回かに渡って,重力が体に与える影響について記してみようかと思っています。
リハビリテーション課より
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