体のリズム
2020/06/22
『ジャンベ』という西アフリカの太鼓をご存知でしょうか。
この太鼓は不思議なもので,ちょっと手で叩いただけで なぜか大地と生命のリズムが感じられてきます。
天気が良いときに広いところで叩くと,音のひろがりと一緒に心も広がる感じがして,とても気持ちがいいものです。
この太鼓の造りは簡単で,木をくり抜いたものを本体にし,片面にヤギの皮を張って出来ています。
基本的な音は,低音・中音・高音と3種類あり,その組み合わせでリズムをつくります。
西アフリカには,ジャンベの他にも,バチで叩く『ドゥンドゥン』という,大・中・小太鼓もあり,これらで合奏すると迫力も増します。
西アフリカには伝統的に伝わる曲もたくさんあるわけですが,文字のない太古からどうやって伝わったのでしょう?
もともと,楽譜などの伝授法はありません。すべて見て聴いて真似ることで覚えるのです。 (現在ではリズム譜があります。)
なかでも面白いのは,リズムフレーズ(一連のリズムのつながり)の覚え方です。
それは『声に出すことのできるリズムは,いずれ叩けるようになる』というもの。
たとえば,『ドン・トト・ッカ』などのリズムフレーズをいきなり叩きながら覚えるのではなく,まずその通りに口で唱えられるように何回も口で唱えて練習してから,その次にそのリズムを実際に叩く ということです。
実際の日常の動作でも,その動作の擬態語をあえて声に出すと,動作そのものがスムーズになることは,NHKの『ためしてガッテン』でも紹介されたことがあります。
たとえば,跳び箱を飛ぶとき,『タッタッタッタットッヒュッ』のように,助走から踏み切り,ジャンプにあわせて声を出して練習したほうが良い,というのです。
これは,声を出すことで大脳からの意識的なブレーキを抑えて,小脳からの無意識下の信号を使いやすくするためのひとつの方法だそうです。