重力が体に与える影響を探る 第2回
2021/05/24
『重力が体に与える影響を探る』,の2回目です。
今回は老化現象がどのようにして起こるのか?
独自の見解ですが記してみます。
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宇宙飛行士は宇宙へ行ったその日から,身体に変化が起こります。
前回のおさらいです。- 血圧が大きく変動する
- 貧血状態になる
- 筋肉が衰える
- 骨量が減少する
- 腸の働きが低下する
- 免疫の働きが低下する
- 暑さや寒さを敏感に感じるようになる
- 眠りが浅くなる
- 身体を安定させることが難しくなる
などでしたね。
宇宙飛行士が宇宙に行ったらどうなるか?
身体にどんな変化が起こるか?
- 地上において,どんな方法で疑似体験が出来るか?
当初,NASAはベッドの長期臥床実験により起こる,身体の変化のデータで検証を進めていました。
実験は,全世界からボランティアを募り,健康な人にベッドに安静に寝てもらいます。(日本でもこの実験に参加した方がいるようですよ。)
被験者は,トイレに行くことも,シャワーを浴びることもできません。
一日中ベッドで安静にしています。
この状態で数週間を過ごしてもらい,身体に起こる変化を探るものでした。
こうして得られたデータから,宇宙では冒頭にあげたような身体の変化が起こりうることが事前に予測できていたのです。
- これらの症状は,一見すると,悪い事象かのように捉えがちですね。
しかし見方を変えると,宇宙環境に身体が対応しようとしているために起こっていることなので,当然といえば当然のこと。
重力が無くなって無重力の環境に変わり,働かす必要がなくなった機能に,先のような変化が起きた。
それにすぐには身体が付いていけない。
人類が無重力空間に何万年も住み続けたとしたら,それなりに適応した身体になっていくのかもしれませんね(笑)。
- そもそも『廃用』よりも『環境順応』では?
『廃用』とは,使わない機能は衰え,用を成さなくなってく状態のことですが,宇宙で起こるこれは,本質的には『廃用』ではなく,『環境順応』という言葉の方が合っているのかもしれません。
そのような環境になったため,ある機能自体が不要となり喪失していく。
無くても良い体になっていく。
しかし,宇宙飛行士はそれでは困るわけで,いずれ地球に戻れば重力にさらされます。
宇宙に行っても機能を喪失しないように,維持しておかないとならない。
ですから,宇宙ステーションの中で運動をして,機能の衰えを最小限に抑えています。
- 宇宙飛行士の身体の変化は高齢者の老化現象と似ています。
違う点とすれば,宇宙飛行士の場合はリハビリにより,機能がほぼ完全復活するのに対し,高齢者のそれはリハビリを行っても,なかなか復活しないことです。
ただし,機能が衰えていく過程においては,共通点が多く見られています。
そこには,身体への重力の影響を避けるようになることが,老化の加速につながるのが見えてきます。
- 重力を避ける生活とは
例えばどんな状況でしょう。
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- 走るよりも歩く
- 歩くよりもただ立っている
- 立つよりも座る
- 座るよりも横になる
機能を働かせなくても良い環境を好むことで,立位・座位で必要な機能を喪失していく。
それは廃用と言うよりむしろ,その環境に順応した身体になっていく方が近い。
急にそうなるわけではなく,人生と言う長い時間をかけて,重力を避け続けた結果だということです。
(病気によるものは別です。)
『離床!離床!』と言われるのは,寝るよりも座る,座るよりも立つ,立つよりも歩く方が,それだけで失いつつある機能を維持し,呼び覚ますことが出来るからですね。
つづく。。。
リハビリテーション課より
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